産後の身体は交通事故並み?帝王切開後のダメージと回復期間を振り返る

帝王切開後の身体のダメージと回復期間を振り返る産後の女性のイラスト 出産準備

この記事でわかること

「産後ダメージは交通事故並み」という言葉、聞いたことはあっても実際どうなのか気になりませんか?

この記事では、帝王切開で出産した私自身の経験をもとに、

  • 出血量や血圧など、数字で見る産後の身体的ダメージ
  • 痛みよりもつらかった「身体が思い通りに動かない」感覚
  • 尿意・便意すら分からなくなる、感覚のズレ
  • 退院までの回復の時系列と、その後も続いた不調

を振り返りながら、「交通事故並み」という表現が実感としてどうだったのかを検証していきます。

「産後のダメージは交通事故並み」は本当?帝王切開のリアルな体験談 

私自身、妊娠中にこの言葉を見かけて「大変そうだけど、よくわからないな……」となりました。

SNSや育児本でもよく引用されるフレーズですが、交通事故に遭ったことがないので実際どのくらいのダメージなのかが分かりません。

そこで今回は、自分の帝王切開での出産経験を振り返りながら、「交通事故並み」というのが実感としてどうだったのかを検証してみたいと思います。

ただし前提として、交通事故と一口に言っても軽傷から重傷までさまざまです。

あくまで「大きな手術・身体的負荷を伴う出来事」という意味合いで捉えて、自分のケースと照らし合わせてみることにします。

なお経腟分娩の方だとまた違ったダメージの形があると思うので、今回は帝王切開ケースの一例として読んでいただければと思います。

【数字で見る】帝王切開における身体への客観的ダメージ 

まずは感覚ではなく、数字として残っている部分から振り返ってみます。

出血量

母子手帳を確認したところ、出血量は羊水込みで1.6リットルとのこと。

手術中は意識が朦朧としていたので、後から輸血を受けていたことを知りました。

血圧の低下

もともと血圧は低めで、平常時は上90/下50ぐらい。

手術前の説明で「麻酔と一緒に昇圧剤を少量ずつ入れるから大丈夫」と言われていたものの、実際は手術中に血圧の下が最低30まで下がっていたそうです。

手術中に助産師さんたちがその数値を報告し合っている声がぼんやり聞こえていた記憶があります。

産後の貧血

臨月から産後1か月ほど、ずっと貧血状態が続いていました。

入院2日目の採血で数値が出たため鉄剤が処方されましたが、鉄剤を飲んですぐに改善するわけではないので、体力が戻るまでの間はずっと眠気と疲労感がありました。

自分の身体じゃない?術後に感じた機能不全 

数字以上に印象的だったのが、「自分の身体なのに思い通りに動かせない」という感覚でした。

足が動かない

手術翌朝には麻酔が切れて自力で足を動かせるようになっている予定だったのですが、なかなか戻らず足が全く動かせない状態が続きました。

加えて点滴や心電図、尿道の管がつながっているため、そもそも大きく動くこと自体ができません。

痛いと言われている後陣痛はこのおかげであまり感じませんでした。

ただ、動けないだけで喉もかわくしお腹もすきます。

夜中にベッドの脇にペットボトルを落としてしまったときは、拾いたくても身動きが取れず絶望しました。

(看護師さんが様子を見に来てくれたときに取ってもらいました。)

出産の喜びや感動よりも、生命維持に必死でした。

起き上がる・寝るという「当たり前」の動作ができない

腹筋が使えないため、横になる・起き上がるという動作にコツと体力が必要でした。

横になるにはまず、最初は座った状態から深く腰掛け直し、腕の力で身体を移動。

足の力でなんとかベッドに乗せて、あとは腕でズリズリ這い上がる……という一連の作業が必要でした。

慣れるまでは5分近くかかりました。

(退院時には1分程度まで短縮されました。)

ようやく横になっても、赤ちゃんが泣けばまた起き上がらないといけません。

赤ちゃんのお世話では、コットから抱き上げる、授乳クッションに乗せるといった動作のたびに、腰やお腹をひねらないように気をつける必要があり、ちょっとした動作にも緊張が伴いました。

「内臓がずり落ちる」不快感 

「起き上がりがつらいなら横向きで寝ればいいのでは」と思って試してみたのですが、横向きになると脇腹のあたりに内臓がずり落ちるような違和感があり、うまく眠れませんでした。

子宮の収縮に伴って内臓の位置が戻っていく過程だったのでしょうか。

この違和感は退産後3か月ほど経つまで完全には消えませんでした。

「痛み」というより「気持ち悪さ」に近い感覚だったので目に見えて分かりにくく、地味に長引いた不調のひとつです。

ちょっとしたことですが、好きな体勢でリラックスして休めないのはストレスでした。

尿意も便意もわからない…身体感覚の喪失と精神的ストレス 

身体が動かせないこと以上に不安だったのが、「自分の感覚が信用できない」という状態でした。

尿意・便意がわからない

術後しばらくは尿道カテーテルの影響もあってか、尿意そのものを感じられませんでした。

感じにくくなることがあると聞いていたので、日中は1時間おきにタイマーをかけてトイレに行くようにしていました。

便意に関しても同様です。

お腹はグルグル動いているのに、それがガスなのか、ちゃんとした排便なのか自分でも判断がつかない状態がしばらく続きました。

傷口が痛いのに念のためトイレへ向かい、結局ガスだけ……ということを繰り返すのは、地味に体力もメンタルも削られるものでした。

便意がはっきり「戻ってきた」と感じられたのは、術後5日目のことです。

「産んだ」実感がわかない

身体感覚のズレは、精神的な部分にも影響していたように思います。

帝王切開で出してもらったこともあり、しばらくは「自分が出産した」という実感がほとんどありませんでした。

目の前に赤ちゃんがいても、どこか他人事のようにぼんやり眺めている感覚があり、母子同室が始まってからも「そういえば産んだんだった」と実感するまでに数日かかりました。

これは、身体の感覚だけでなく、意識や自覚までもが一時的に現実から切り離されているような状態だったのかもしれません。

事故に遭った直後、何が起きたのか状況を飲み込めずに呆然とする感覚に近いものがあった気がします。

【時系列】帝王切開から身体機能が「元に戻る」までの回復タイムライン 

最後に、実際どのくらいの期間で「動ける」状態に戻っていったのか、時系列で振り返ってみます。

産後1〜2日目:ほぼ寝たきり状態

麻酔と各種の管がつながった状態で、自力で身動きが取れません。

足の感覚が戻らず、離床できたのは手術翌日の昼過ぎ。

歩けるようになっても「散歩に乗り気じゃない犬」ぐらいのスピードで、腰を曲げながらそろそろと移動する状態でした。

産後 3〜4日目:離床・シャワー解禁だが動くと痛い

シャワーが解禁され、背中の麻酔の管も抜けて、身体的な不快感はかなり軽減されました。

ただし、傷の痛みは3日目まではっきり残っており、4日目からようやく「動きすぎなければ痛くない」レベルに。

抱っこや授乳のたびにジクジクとした痛みがぶり返す状態でした。

5〜6日目:便意も戻るが、まだ本調子ではない

5日目にようやく便意の感覚が戻り、身体の内側の機能も少しずつ元通りになっていく実感がありました。

ただし骨盤はぐらぐらで長時間立っていられず、体力的にも精神的にも疲れを感じやすい時期でした。

7日目(退院)以降:「痛みが引いた」と「元通り」は別物

安静時の痛みはなくなり、痛み止めもほぼ不要になったのは退院時点でしたが、これで「元通り」ではありませんでした。

動いていると傷も痛みだすし、横になったり起き上がるのも時間がかかります。

貧血の影響で常に眠く、ぼんやりした状態でした。

授乳とおむつ替えだけはやっていましたが、それ以外はなるべく寝ていました。

正直、里帰り出産じゃないと厳しかったです。

1か月後:骨盤の落ち着きと家事再開

退院後もしばらく骨盤のぐらつきは続き、鏡で見ると腰が左右非対称になっているほどでした。

産後1か月ほど経ってようやくぐらつきが収まり、短時間なら家事もこなせるくらいまで回復しました。

ですが、買い物などで家にいるとき以上に長く歩いたり、荷物を持ったりすると、傷の痛みや腰痛がありました。

安静にしていれば平気でも、負荷をかけると痛みがぶり返す、という状態です。 

2か月後:元気とは言い難い

家事もほぼ産前通りこなせるようになり、買い物による身体的負担も減りました。

悪露も落ち着き、ようやく落ち着いて生活できるようになりました。

それでも少し無理すると体調不良(頭痛、めまい等)に陥りました。

内臓のずれ感も続いていました。

3か月後:ほぼ改善

内臓のずれ感もなくなり、体調面も日帰りで遠出できるぐらいには回復しました。

産後ダメージが落ち着いたと思ったのは束の間、産後のアドレナリンが落ち着いたのか、細切れ睡眠がキツくなりました。

(だいたい2〜3ヶ月頃にアドレナリンが落ち着くようです)

また、立ち上がったときに腰が最初から伸び切らず、くの字のままになってしまう症状だけは続いており、こちらは治るのに半年ほどかかりました……。

こうして並べてみると、「痛みが引く」までと「身体機能が元に戻る」までには、はっきりとした時間差があることが分かります。

表面的な回復と、内側の回復は別物として捉えたほうがよさそうです。

まとめ:「痛みが引く」と「元通り」は別物! 

実際に体験してわかった「交通事故並み」の意味 

ここまで、自分の帝王切開での出産経験を、数字・身体の不自由さ・感覚のズレ・回復までの時間という面から振り返ってみました。

正直なところ、「交通事故並み」という言葉が医学的に正しい比較なのかは分かりません。

交通事故にもさまざまなケースがありますし、出産のダメージにも大きな個人差があります。

ただ、自分の経験を振り返ると、「大きなダメージを受けた身体が、すぐには元通りにならない」という意味では、この表現が言い得て妙だと感じました。

私の場合、一番つらかったのは傷の痛みそのものよりも、「身体が思い通りに動かない」「自分の身体感覚が信用できない」ということでした。

そして改めて感じたのは、「痛みが引く」ことと「身体が元通りになる」ことは別だということです。

退院する頃には最低限の生活はできるようになっていましたが、負荷をかけると痛みがぶり返し、骨盤のぐらつきや体力の低下も続きました。

自分自身が「産後ダメージが落ち着いた」と感じたのは、結局3か月ほど経ってからでした。

今回は帝王切開の一例ですが、経腟分娩でもまた違った形のダメージやしんどさがあると思います。

これから出産を迎えるママ・パパへ伝えたいこと  

もしこれから出産を控えている方が読んでいたら、身構えすぎず、ぜひ「産後はいっぱい寝よう!」と予定を組んでほしいです。

そして、出産を控える家族、とくにお父さんになる人へ。

退院したから、見た目が元気そうだからといって、身体が元通りになったわけではありません。

産後は、慣れない育児に加えて、傷の痛みや悪露、骨盤のぐらつきなど、目に見えにくい不調もあります。

ぜひ退院後もしばらくは、「もう大丈夫そう」と思わずに、しっかりサポートしてもらえたらと思います!

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